「アメショのネコ」
一度は雲の上に上がったものの地上にいるニンゲンが心配で下に降りてきているネコもいた。
ある夜オレは、地上と雲のちょうど中間くらいの場所を散歩しているとアメショの男の子と出会った。
オレと同じ“しゅよう”で旅立ったネコだった。
一度は、雲の上に上がったのだけど家族が心配でこっそりとお家に帰っていたらしい。
アメショはちょうど地上からお空に帰る途中だった。

「お空に上がった後も地上に戻ってこられるの?」
オレは、まだ雲の上には上がったことがなかったのでアメショに聞いてみた。
「そうだよ。
体から出たらどこへでも自由に行けるんだよ」
アメショは答えた。
「へえ、そんなんだ。
オレは、一度雲の上に上がったらもう降りてこられないかと思っていた!
だから一度も上がらずに、ニンゲンが心配でこちらに残ったままなんだよ」
とオレが言うと、
「ええ? 本当なの?
自由になったのに一度も雲の上に行ったことがないなんて、信じられないや。
・・・確かに一度雲の上に上がってしまうとこちらには戻って来ようという気はよっぽどのことがないと起こらないかもしれないかもしれないなあ。
だって雲の上は自由でとても気持ちがいいんだもの。
実際に一度もこちらに戻って来たことのないネコだっていっぱいいるんだよ」
アメショは、目を丸くしてそう言った。
オレは、こいつがちょっと気に入った。
体の中に入っている時は、他のオスネコなんてぜったい寄せ付けたくなかったんだけど、なんだかこいつとは仲良くできるような気がした。
「雲の上は、そんなに気持ちが良い場所なのになんでキミは、どうしてこっちに戻って来たの?」
と、質問すると、アメショは急に淋しそうな顔をして、地上の方に目を落とした。

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ある夜オレは、地上と雲のちょうど中間くらいの場所を散歩しているとアメショの男の子と出会った。
オレと同じ“しゅよう”で旅立ったネコだった。
一度は、雲の上に上がったのだけど家族が心配でこっそりとお家に帰っていたらしい。
アメショはちょうど地上からお空に帰る途中だった。

「お空に上がった後も地上に戻ってこられるの?」
オレは、まだ雲の上には上がったことがなかったのでアメショに聞いてみた。
「そうだよ。
体から出たらどこへでも自由に行けるんだよ」
アメショは答えた。
「へえ、そんなんだ。
オレは、一度雲の上に上がったらもう降りてこられないかと思っていた!
だから一度も上がらずに、ニンゲンが心配でこちらに残ったままなんだよ」
とオレが言うと、
「ええ? 本当なの?
自由になったのに一度も雲の上に行ったことがないなんて、信じられないや。
・・・確かに一度雲の上に上がってしまうとこちらには戻って来ようという気はよっぽどのことがないと起こらないかもしれないかもしれないなあ。
だって雲の上は自由でとても気持ちがいいんだもの。
実際に一度もこちらに戻って来たことのないネコだっていっぱいいるんだよ」
アメショは、目を丸くしてそう言った。
オレは、こいつがちょっと気に入った。
体の中に入っている時は、他のオスネコなんてぜったい寄せ付けたくなかったんだけど、なんだかこいつとは仲良くできるような気がした。
「雲の上は、そんなに気持ちが良い場所なのになんでキミは、どうしてこっちに戻って来たの?」
と、質問すると、アメショは急に淋しそうな顔をして、地上の方に目を落とした。

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「オレの目玉」
深夜の“かそうば”で焼かれて骨になったオレの体・・・
へ~オレの体の骨ってこうなっているんだあ、って自分でもちょっびっくりしちゃったよ。
「しっかりした骨ですね。
焼かれてもまったく形は崩れず、そのままの形で出てきましたね。
・・・おそらく猫ちゃんは、ずいぶん丈夫だったのでしょうね」
と、葬儀屋のダンナさんも驚いていたっけ。
葬儀屋のダンナさんは真っ白な壺の中を手に持って
「この中に猫さんの骨をおさめていただきます」
そう言って大きなおはしでオレの頭の骨を拾った瞬間、コロコロ・・・と透明の水色のボールが転がり落ちた。
「あ」
葬儀屋のダンナさんは驚いて手を止めた。
ニンゲンたちはそのボールをのぞきこんだ。
「あ・・・これは、ニャン太郎の義眼です。
眼球を摘出した時に入れたシリコンです」
とニンゲンが言った。
そうなんだ・・・、こんなものがとってしまった目の後に入っていたんだ。
オレの目と同じ色の義眼を入れるなんて手術した先生もちょっと気がきいているなあ。

ニンゲン一家は交代しながら、オレの体の骨を全部壺の中に入れた。
21年と8ヶ月も使って、最後の3ヶ月は“こうがんざい”漬けだったのにもかかわらず、オレの骨は頑丈だった。
壺に入れようとして大きなはしでつまでんいたけど、ぼろぼろとくずれることはなかった。
全てが終わってニンゲンたちが家に着いたのは午前だった。
こうして借りていたオレの体は、神様のもとへ返却された。
オレの骨の壺は金色の袋に入れられてオレがいつも座っていた出窓に置かれた。
オレの好きな場所だった。
横には、ニンゲン一家が“かそうば”に持っていくのを忘れた花がコップに入って飾られていた。

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へ~オレの体の骨ってこうなっているんだあ、って自分でもちょっびっくりしちゃったよ。
「しっかりした骨ですね。
焼かれてもまったく形は崩れず、そのままの形で出てきましたね。
・・・おそらく猫ちゃんは、ずいぶん丈夫だったのでしょうね」
と、葬儀屋のダンナさんも驚いていたっけ。
葬儀屋のダンナさんは真っ白な壺の中を手に持って
「この中に猫さんの骨をおさめていただきます」
そう言って大きなおはしでオレの頭の骨を拾った瞬間、コロコロ・・・と透明の水色のボールが転がり落ちた。
「あ」
葬儀屋のダンナさんは驚いて手を止めた。
ニンゲンたちはそのボールをのぞきこんだ。
「あ・・・これは、ニャン太郎の義眼です。
眼球を摘出した時に入れたシリコンです」
とニンゲンが言った。
そうなんだ・・・、こんなものがとってしまった目の後に入っていたんだ。
オレの目と同じ色の義眼を入れるなんて手術した先生もちょっと気がきいているなあ。

ニンゲン一家は交代しながら、オレの体の骨を全部壺の中に入れた。
21年と8ヶ月も使って、最後の3ヶ月は“こうがんざい”漬けだったのにもかかわらず、オレの骨は頑丈だった。
壺に入れようとして大きなはしでつまでんいたけど、ぼろぼろとくずれることはなかった。
全てが終わってニンゲンたちが家に着いたのは午前だった。
こうして借りていたオレの体は、神様のもとへ返却された。
オレの骨の壺は金色の袋に入れられてオレがいつも座っていた出窓に置かれた。
オレの好きな場所だった。
横には、ニンゲン一家が“かそうば”に持っていくのを忘れた花がコップに入って飾られていた。

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「焼かれたオレの体」
曇った夜は月明かりもなくて、真っ暗だった。
深い灰色の空にもくもくと黒い煙が一直線に立ちこめている。
オレの体を焼いている煙を見るのは、ちょっとヘンな気持ちがした。
むりもない、オレが21年と8ヶ月ちょっと入っていた体なんだもの。
止まって空っぽになっちゃった体は燃やされるか、土に還るかのどちらかなんだろうな。

あ、もう“かそう”が終わったみたいだ。
ニンゲン一家がまた、ワゴン車のところにやって来たぞ。
「これから猫ちゃんの骨を拾っていただきます。
ひとつだけ注意があります。
とびらを開けると猫ちゃんをのせた台はかなり熱くなっていますので、ぜったいに触らないようにしてください」
そう言って葬儀屋のダンナさんは、白いワゴン車の中に入った箱の扉をゆっくりとあけた。
ガラガラと音を立てて箱の中から台が出てきた。
その上に真っ白な骨になったオレの体が横たわっている。
入れた時と全く同じ格好で寝ているぞ。
わ~、なんだか体中ピカピカと光っている。
体のあちこちに線香花火がくっついているみたいだ。
「体に“しゅよう”があった場所はこうやって赤く燃えたままになっているんですよ」
葬儀屋さんのダンナさんはそう言った。
きっと同じような動物たちをこれまでたくさん“火葬”していて、こういうのをたくさん見ているんだろうなあ。
それにしてもオレの体はしっぽ以外あちこちずいぶんいっぱい光っているなあ。
これは、オレが最後まで“しゅよう”と闘った証なのかもしれないな。

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むりもない、オレが21年と8ヶ月ちょっと入っていた体なんだもの。
止まって空っぽになっちゃった体は燃やされるか、土に還るかのどちらかなんだろうな。

あ、もう“かそう”が終わったみたいだ。
ニンゲン一家がまた、ワゴン車のところにやって来たぞ。
「これから猫ちゃんの骨を拾っていただきます。
ひとつだけ注意があります。
とびらを開けると猫ちゃんをのせた台はかなり熱くなっていますので、ぜったいに触らないようにしてください」
そう言って葬儀屋のダンナさんは、白いワゴン車の中に入った箱の扉をゆっくりとあけた。
ガラガラと音を立てて箱の中から台が出てきた。
その上に真っ白な骨になったオレの体が横たわっている。
入れた時と全く同じ格好で寝ているぞ。
わ~、なんだか体中ピカピカと光っている。
体のあちこちに線香花火がくっついているみたいだ。
「体に“しゅよう”があった場所はこうやって赤く燃えたままになっているんですよ」
葬儀屋さんのダンナさんはそう言った。
きっと同じような動物たちをこれまでたくさん“火葬”していて、こういうのをたくさん見ているんだろうなあ。
それにしてもオレの体はしっぽ以外あちこちずいぶんいっぱい光っているなあ。
これは、オレが最後まで“しゅよう”と闘った証なのかもしれないな。

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「さようならもふもふ、オレの体」
「それでは、これより火葬場にご案内します」
そう言って葬儀屋さんは、外に出て、最初に上がってきた階段を降りていった。
ニンゲン一家は、その後に続いた。
オレの体はニンゲンに抱っこされていた。
階段を降りると門の左側に小屋があり正面のドアが観音開きになっていて、そこにワゴン車が頭から入って止まっていた。
ワゴン車は、後ろのドアが開いていて中には大きくて頑丈そうな鉄の箱が入っている。
箱の扉も開いていてその前に箱の中から出てきたと思われる鉄製の台がおいてあった。
台の上部には石かレンガようなものが置いてあった。

「では、この上にネコさんを寝かせてあげてください」
葬儀屋のだんなさんはそう言って、その台に案内した。
ニンゲンは、そっとオレの体を置いた。
頭には真っ白できれいな細工の入った枕を敷いてくれた。
「・・・これから火葬いたします。
最後のお別れをお願いします。
お花など猫ちゃんの横に置かれてもいいですよ」
と、葬儀屋さんが言うと、ニンゲン一家はちょっとざわざわし始めた。
あわてていたせいかニンゲンたちは、せっかく近所に走って買ってきたお花を持って来るのを忘れたのだった。
「まいいか、ニャン太郎はそれほどお花好きじゃなかったからいいよ・・・」
と、ニンゲンは、いい加減なことを言っている。
ほんとにもう、これだからニンゲン一家は・・・
ニンゲンは、代わりにオレの体をくるんでいたタオルとニンゲンが涙をふいていた小さなタオル地のハンカチをそっとオレの体にかけた。
「悲しいことつらいこと、みんな焼いてしまおうね・・・
涙を拭いたこのハンカチにその全部をたくすことにするね。
これでニャン太郎は、これから楽しいことばかりだよ・・・」

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オレの体はニンゲンに抱っこされていた。
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ワゴン車は、後ろのドアが開いていて中には大きくて頑丈そうな鉄の箱が入っている。
箱の扉も開いていてその前に箱の中から出てきたと思われる鉄製の台がおいてあった。
台の上部には石かレンガようなものが置いてあった。

「では、この上にネコさんを寝かせてあげてください」
葬儀屋のだんなさんはそう言って、その台に案内した。
ニンゲンは、そっとオレの体を置いた。
頭には真っ白できれいな細工の入った枕を敷いてくれた。
「・・・これから火葬いたします。
最後のお別れをお願いします。
お花など猫ちゃんの横に置かれてもいいですよ」
と、葬儀屋さんが言うと、ニンゲン一家はちょっとざわざわし始めた。
あわてていたせいかニンゲンたちは、せっかく近所に走って買ってきたお花を持って来るのを忘れたのだった。
「まいいか、ニャン太郎はそれほどお花好きじゃなかったからいいよ・・・」
と、ニンゲンは、いい加減なことを言っている。
ほんとにもう、これだからニンゲン一家は・・・
ニンゲンは、代わりにオレの体をくるんでいたタオルとニンゲンが涙をふいていた小さなタオル地のハンカチをそっとオレの体にかけた。
「悲しいことつらいこと、みんな焼いてしまおうね・・・
涙を拭いたこのハンカチにその全部をたくすことにするね。
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「最後の記念撮影」
ガマガエルみたいなお経がすむと祭壇の前に置いたオレの体の前で手を合わせていた葬儀屋のダンナさんがくるりと後ろを向いて座り直した。
「どうぞ、順番にご焼香をお願いします・・・」
葬儀屋のダンナさんがそう言うと、ニンゲン一家は一人ひとりオレの前に座って何かをつまんで鉢の上にのせてた後、手を合わせていた。
オレは、みんながオレの体に手を合わせているのを見ていると、とても不思議な気持ちになった。
何をしているのかな?
どうして手を合わせているんだろう・・・
考えてみれば、オレはこの中に入っていたんだよね。
22年近くも・・・
いっぱい働いた体にニンゲンたちはお礼を言っているのかもしれないな。
よ~し、オレもちゃんとお礼をしなくっちゃ。
オレは、止まったオレの体の上にのって静かにこう言った。
「これまでありがとう。
さようなら、オレの体」

“葬儀”が終わるとオレの体を囲んでニンゲン一家全員で写真を撮っていた。
葬儀屋のダンナさんがデジタルカメラで構えている。
せっかくだから、オレも写っちゃおう!
だって家族全員の最後の記念撮影だもんね。
オレはこっそりニンゲンの頭の上にのっかった。
・・・しかし、現在のデジタルカメラのテクノロジーではオレの写真は撮影できなかった。
直後に
「こんな具合でいいですか?」
とカメラの小さなモニターを葬儀屋さんのダンナさんが差し出した時、チェックしたらやっぱりオレの姿は写っていなかった。
写真のニンゲンは、涙でぐしゃぐしゃの顔をしていた・・・

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「どうぞ、順番にご焼香をお願いします・・・」
葬儀屋のダンナさんがそう言うと、ニンゲン一家は一人ひとりオレの前に座って何かをつまんで鉢の上にのせてた後、手を合わせていた。
オレは、みんながオレの体に手を合わせているのを見ていると、とても不思議な気持ちになった。
何をしているのかな?
どうして手を合わせているんだろう・・・
考えてみれば、オレはこの中に入っていたんだよね。
22年近くも・・・
いっぱい働いた体にニンゲンたちはお礼を言っているのかもしれないな。
よ~し、オレもちゃんとお礼をしなくっちゃ。
オレは、止まったオレの体の上にのって静かにこう言った。
「これまでありがとう。
さようなら、オレの体」

“葬儀”が終わるとオレの体を囲んでニンゲン一家全員で写真を撮っていた。
葬儀屋のダンナさんがデジタルカメラで構えている。
せっかくだから、オレも写っちゃおう!
だって家族全員の最後の記念撮影だもんね。
オレはこっそりニンゲンの頭の上にのっかった。
・・・しかし、現在のデジタルカメラのテクノロジーではオレの写真は撮影できなかった。
直後に
「こんな具合でいいですか?」
とカメラの小さなモニターを葬儀屋さんのダンナさんが差し出した時、チェックしたらやっぱりオレの姿は写っていなかった。
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